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国際連合:世界の首脳は中国とロシアに残虐行為の停止を強く求めるべき

国連総会ハイレベルウィークは、喫緊の人権問題に焦点を

UN member countries address the 76th session of the United Nations General Assembly at UN headquarters in New York City, September 25, 2021. © 2021 Kena Betancur/Pool Photo via AP ©

(ニューヨーク)ニューヨークで開催される国連総会に参加する世界の首脳は、中国ロシア両政府や、その他の主要な実行者による重大な人権侵害についてアカウンタビリティの実現を公約すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは述べた。数十ヵ国の首脳が出席する国連総会の年次一般討論演説は、2022年9月20日から26日まで開催される。

総会は、世界の首脳が、中国の新疆ウイグル自治区での人道に対する罪のおそれのある行為を詳述した国連報告書のフォローアップ、ウクライナでのロシアの残虐行為、エチオピアミャンマーシリアでの戦争犯罪と人道に対する罪、アフガニスタンでの成人女性と少女への全面的な抑圧など、緊急性がきわめて高い人権問題を論じる重要な機会だ。各国指導者は、世界中の飢餓に苦しむ人びとに食料を供給し、気候変動の壊滅的な影響に取り組むための行動計画策定について議論することが求められている。

「世界の首脳は、国連総会というグローバルな舞台を利用して、中国とロシア両政府による大量の犯罪行為にスポットライトを当てるべきだ」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチ国連局長ルイ・シャルボノーは述べた。「大国の法の正義を追及しようとする国は、世界に蔓延する広範な人権侵害に対処する扉を開くことになる」。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックを受けて、総会ホールでの一般討論演説は、2019年以降はじめてほぼすべて対面形式で行われる。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は例外的にビデオ演説を行う予定だ。

米国のジョー・バイデン大統領やフランスのエマニュエル・マクロン大統領も登壇する。両大統領は、同盟国政府および権威主義的な敵対国の政府による重大な人権侵害を非難し、普遍的な社会保護をはじめとする、経済危機への人権尊重型アプローチを推進すべきだ。両大統領ならびに各国首脳は、発生場所にかかわらず重大な国際犯罪についてアカウンタビリティを実現することも公約すべきである。

アフリカの指導者たちは、アフリカ連合(AU)とアフリカの3つの国連安全保障理事会メンバー(ガーナ、ガボン、ケニア)に対し、安全保障理事会がエチオピア北部2年近くの紛争を公式議題に追加することに抵抗していることを止めるよう強く促すべきだ。AUの調停がエチオピアでの残虐行為と人道危機の終結に失敗したことを考えれば、安保理の関与は極めて重要である。

気候変動への対応では、世界の首脳は、パキスタンバングラデシュで最近発生し、多数が被害を受けた大洪水で明らかになったように、その影響を緩和し、回避することの緊急性を強調することが求められる。また、極端な気象現象に関連する救助、救援、復旧の過程で、高齢者、子ども、障害者など社会的に疎外された人びとやリスクの高い人びとの福祉を優先させることを約束すべきだ。欧米の主要排出国をはじめ、歴史的に気候変動に最も責任のある国の指導者は、気候変動の被害の増大に適応する脆弱な国々の試みを支援すべきである。

ハイレベルウィークは年次総会開催中の最も慌ただしい1週間だが、大半の活動はサイドイベントや特別会合で行われる。国連事務局はこの週に、国連本部に非政府組織を入れないという、不必要かつ非生産的な対応を行っている。イベントによって例外はあるとはいえ、市民社会組織が基本的に排除されていることで、国連の1年を通してきわめて重要な時期に、こうした組織が十分に貢献を果たすことができない。国連加盟国は、当該週の議論やサイドイベントに人権団体などの各種団体の参加を認めるよう主張すべきだと、ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘した。

戦争犯罪やその他の深刻な国際法違反行為に関するアカウンタビリティの問題は安全保障理事会の閣僚級会合(現議長国のフランスが主催)で行われる予定であり、ウクライナでの戦争犯罪の不処罰を終わらせることが取り上げられる。デンマーク、オランダ、ウクライナ、ドイツは、多数の国連加盟国を対象にこの主題での会議を開催する。武力紛争下での性暴力や、ミャンマー軍事政権によるロヒンギャ・ムスリムへの迫害に対するアカウンタビリティの追及についての会合も開催される。

各国首脳はまた、新型コロナウイルス感染症のパンデミックやウクライナ戦争に先立って世界的な問題となっている、食糧安全保障と飢餓に関するセッションを開催する予定だ。アフリカの角、アフガニスタン、イエメン、またエチオピアなどの紛争地域では、飢餓が戦争の武器として使われていることが懸念されており、この問題も議論される。各国首脳は、食糧価格の変動や上昇をもたらす、グローバルな食糧システムの根本的欠陥への対策についても議論することが求められる。

国連は、9月19日に「教育変革サミット」を開催する。世界の首脳はこの機会を利用して、国際法における教育の権利の拡大を訴えるとともに、すべての子どもが少なくとも1年間の無償の初等教育および無償の中等教育を受ける権利を認めることを公約すべきである。

「世界の首脳は、人権とアカウンタビリティ、飢餓と貧困の終結、気候変動の影響の緩和に向けた行動を呼びかけ、国連総会の次の12カ月をスタートさせるべきだ」と、前出のシャルボノー局長は述べた。「世界の指導者には、国連総会での一般討論が、並外れた注目を向けられてふさわしいものであるようにすることが求められているのである」。

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