日本の参議院に現在提出されている法案は、刑法上のレイプの定義について「不同意性交等」と改正するもので、画期的である。この法案は6月21日までに採決される可能性がある。採択されれば、性暴力に関する日本の法律において100年で2度目の改正となる。
また、この法案は性犯罪の公訴時効を10年から15年に引き上げ、同意年齢を13歳から16歳に引き上げる一方で、年齢の近い青少年の同意に基づく性行為を処罰の対象外としている。しかし、この法案について性暴力のサバイバーなどは、同意のない性交はレイプであると単純明快な定義ではなく、被害者が有効な意思表示ができない可能性がある8つの具体的な行為で定義していることを批判している。
日本では2017年にも刑法改正が行われ、レイプの定義が拡大されたが、国際基準には未だ及ばない。日本法では、レイプを 「暴行又は脅迫」による性交、あるいは「心神喪失若しくは抗拒不能」に乗じたものと狭く定義している。
女性に対する暴力に関する国連の特別報告者は、2021年の報告書で各国政府に対し、国内法を人権基準に適合させるよう促し、「被害者による同意の欠如は、強制性交のすべての定義の中心とすべきである」と述べている。
日本では、性暴力の被害者は偏見への恐れと羞恥心から、しばしば名乗り出ることを躊躇してしまう。2021年の政府の調査によると、性暴力被害者(性別を問わない)のうち、被害を警察に相談したのはわずか約6%で、半数近くの女性が「恥ずかしさ」を理由に相談しなかったと回答した。
また、サバイバーは事情聴取の際、警察の対応によって自尊心を傷つけられるという二次被害を受け、さらには被害届を取り下げるよう説得されたと証言している。多くのメディアがすでに報じているように「暴行又は脅迫」の法解釈には限界があり、罪に問われなかった事件の多くにおいて、この要件の不充足が理由となっている。
日本政府は、サバイバー中心のアプローチを取ることから始め、性犯罪に関する法律を国際的な人権基準に適合するよう改正するべきである。また、性暴力のサバイバーの司法へのアクセスを保障するには、同意の欠如に基づくレイプの定義づけが必要である。加えて警察は二次被害を与えることなく事情聴取を行うトレーニングを受けるべきである。また検察官は加害者を司法の場に引き出し、すべてのサバイバーに対する適切な対応や支援を確保すべきである。