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性別検査に対する国際オリンピック委員会の姿勢は正しい

ボクサーたちに対する非難は差別的なポリシーの結果だ

パリ五輪準決勝に出場したアルジェリアのイマネ・カリフ選手、2024年8月6日。 © 2024 Ulrik Pedersen/CSM via AP Photo

パリオリンピックのボクシング大会に参加している二人の女性に対する大量の非難は、「性別検査」というポリシーが与える膨大な害をあらわにしている一方、国際オリンピック委員会(IOC)の包括的な枠組みが女性の権利にとっていかに重要か示した。

台湾のリン・ユーチンとアルジェリアのイマネ・カリフは先週、スポーツを未だに呪う性別検査の亡霊と著名人によるインターネット上での偏見により、突然注目を浴びることになった。イーロン・マスクやJ.K.ローリングを含むソーシャルメディア利用者による袋たたきは、女性のプライバシー、尊厳、そして安全を脅かした。歴史的に、女性アスリートの身体に関する噂やメディアへのリークは彼女たちの人生を破壊し、中にはスポーツを辞めたり、安全確保のため亡命を求めた人もいる。

IOCは偏見と偽情報を批判している。「皆さんは、この女性たちを女性として、そして人間として尊重するようお願いします。人権の話をするのであれば、女性の大会に参加するすべての女性に人権があるということです」とIOCのトーマス・バッハ会長は先週、パリの記者会見で述べた。また、IOC広報部長のマーク・アダムズは「アスリートたちに対するすべての疑いに関して行動をしていたら、とても悪い方向に向かうことは言うまでもない」と発言した

スポーツを管理する組織などは、数十年に渡り「性別検査」のポリシーを通じて女性の参加を制限しており、特に性別の特徴により平均より高いテストステロンを有する女性アスリートを標的にしてきた。性別検査は多くの場合、人種主義やジェンダーに基づくステレオタイプを根拠にしている上、女性が平均より高い内因性テストステロンを有すること自体が運動におけるアドバンテージを生むという科学的なコンセンサスは無い。また、男性に対する性別検査は存在しないため、性別検査自体が本質的に女性に対して差別的である。性別検査に関する曖昧なポリシー、スポーツ管理組織による独占的な実施、そして非科学的な手法の恣意的な適用が、女性の監視を生んでいる。

一方で、アスリートが抵抗してきた歴史もある。2014年にインド陸上競技連盟は、陸上選手のデュティ・チャンドを高いテストステロンを有するとアウティングした上、大会から排除した。チャンドはスポーツ仲裁裁判所に申し立てを行い、その後競技復活を果たし、女性ランナーに対する国際的な性別検査も一時的に廃止された。現在大会から排除されている南アフリカの陸上選手キャスター・セメンヤも、欧州人権裁判所で性別検査が彼女の権利を侵害していると証明できており、控訴の結果を待っている。

スポーツにおける女性の平等は現在進行形のプロジェクトであり、同一労働同一賃金や性暴力に対するアカウンタビリティを求める運動も勢いをつけている。性差別的また、人種主義的なステレオタイプに基づき女性を排除する行為は、大きな目的の達成を妨げるだけだ。

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